「最近、うちの子が『なんで?』って質問することが増えてきたの。どう答えたらいいか迷っちゃうよね。」
こんな会話、周りのパパやママとの間で一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
子供の「言葉の世界」は、親が思っている以上に広がり始めています。
そして、その土台を作るのが語彙力です。
語彙力が豊かな子供は、学校の学びや友達とのコミュニケーションでも大きなアドバンテージを持つと言われています。
この記事では、子供の語彙力を伸ばす絵本の選び方とおすすめの活用法、さらに具体的なおすすめ絵本を紹介します。
語彙力が伸びる時期を逃さないために、今すべきこと
子供の語彙力の重要性:学力とコミュニケーションの基盤
「子供の語彙力が将来の学力に影響する」という話を耳にしたことはありますか?
文部科学省の調査では…
とされています。
これは単に勉強だけでなく、友達や先生とのコミュニケーションにも直結します。
たとえば、幼稚園での「これ貸して」「一緒に遊ぼう」といったやりとりも、語彙力があることでスムーズに進むのです。逆に語彙力が少ないと、「自分の気持ちをうまく伝えられない」「相手の話がわからない」といった困難が生まれることも。
これを読んでいるパパやママに質問です。
お子さんは友達と楽しく遊べていますか?困ったときに「どうしたの?」と聞いても、うまく言葉にできずモジモジしていることはありませんか?
幼少期の語彙力の差が将来に与える影響
語彙力は、まるで木の根っこのようなものです。根が深くしっかりしていれば、将来の成長も安定しますが、根が浅ければ風に吹かれて倒れてしまうかもしれません。
ある研究によると、
3歳から5歳の間に蓄えた語彙量が小学校入学後の学習スピードに影響を与える。
ということがわかっています。
さらに、「30万語の差」という有名なデータもあります。
語彙が豊富な家庭で育った子供と、そうでない子供の間で、入学前に聞いている語彙の総量に大きな差がある
というものです。
この差はそのまま学習意欲や学力の差として表れることも。
だからといって「うちの子は遅れているかも」と心配する必要はありません。まだ幼少期であれば、絵本を通じて語彙力をグッと引き上げることが可能です。
絵本が語彙力を伸ばす理由
「なぜ絵本がいいの?」と思われるかもしれません。
理由は大きく分けて3つあります。
1. 普段の会話では出会えない言葉に触れられる
日常会話で使われる語彙は意外と限られています。
例えば、「ご飯食べた?」や「お片付けしようね」といったフレーズが多く、具体的な物語や抽象的な感情を表す言葉を使う機会は少ないですよね。
一方で、絵本には「冒険」「感謝」「希望」など、大人でもハッとするような言葉が散りばめられています。
2. 想像力を刺激しながら言葉を学べる
絵本を読むことで、子供は絵を見ながらその内容を想像し、言葉の意味を理解しようとします。
たとえば、ライオンが「がぉー!」と吠えるシーンでは、「怖い」という感情を感じ取ったり、「がぉー」という表現がどんな音なのかを体験的に学んでいるのです。
3. 親子のコミュニケーションが深まる
絵本の読み聞かせは、親子の会話を自然に引き出します。
「どうしてこうなったのかな?」「次は何が起こると思う?」といった問いかけを通じて、子供は自分の考えを言葉にする機会を持ちます。この繰り返しが、語彙力と同時にコミュニケーション能力を伸ばしていきます。
「時間がない」「興味を示さない」場合はどうする?
「仕事が忙しくて、絵本を読む時間が取れない」「うちの子は全然興味を示さない」といった悩みを持つ方もいるかもしれません。
その場合、1日10分だけでも絵本の時間を作ってみてください。寝る前のほんの少しの時間でも、子供の心に深く響きます。
また、子供が興味を示さない場合は、親が楽しそうに読んでみることも効果的です。
「このお話、面白そう!」と親が本気で楽しむ姿を見せることで、子供も自然と興味を持つようになります。語彙力は「今」育てることが何よりも大切です。
絵本の選び方:3つのポイント
絵本選びに迷ったときは、以下の3つのポイントを意識してみましょう。
1. 子供の年齢や発達に合わせる
絵本を選ぶ際、子供の年齢や発達段階に合った内容を選ぶことが大切です。
- 0~2歳向け:
色鮮やかなイラストやシンプルなストーリーが中心の絵本を選びましょう。この時期の子供は視覚的な刺激を受けることで、語彙の基礎を築いていきます。
例:「だるまさんシリーズ」(かがくいひろし)。 - 3~4歳向け:
少し複雑なストーリーや、日常的なテーマを扱った絵本がおすすめ。この時期の子供は共感力や想像力が育つので、ストーリー性のあるものが喜ばれます。 - 5歳以上:
より言葉が豊かで、物語の展開がある絵本を選びましょう。「冒険」「友情」「挑戦」といったテーマが、語彙力だけでなく思考力も養います。
2. 日常では使わない言葉が含まれているものを選ぶ
絵本は、普段の会話では出てこない言葉を子供に届ける絶好のツールです。
「ほっこり」「おどろおどろしい」などの表現や、「きりん」「せんぷうき」といった新しい単語が自然と学べるように工夫されています。
難しい単語が出てきても、イラストや文脈から意味を推測する力が身につきます。
3. 親子で楽しめる内容を選ぶ
親が読み聞かせを楽しんでいる姿を見ると、子供も自然と興味を持ちます。
たとえば、ユーモアのあるストーリーや声に出して読むと楽しいリズミカルな文章が含まれる絵本は、大人も子供も夢中になれること間違いなしです。
語彙力アップにおすすめの絵本10選
1. 「ぐりとぐら」シリーズ(中川李枝子・大村百合子)
ふたりのかわいい野ねずみが繰り広げる冒険物語。登場する食べ物や自然の描写が非常に豊かで、「ふわふわ」「ぷりぷり」などの擬音語や擬態語が散りばめられています。
また、「森」「小川」「たまご」など、子供にとって親しみやすい単語も多く、自然と語彙が広がる一冊です。
親子で「次は何が起きるかな?」と予想しながら読むのがおすすめです。
2. 「はらぺこあおむし」(エリック・カール)
世界中で愛される定番絵本。カラフルなイラストとともに、食べ物や数字に関連する語彙を学べます。
「月曜日にはりんごを1つ食べました」という繰り返しのフレーズが、数の概念や時間の流れを子供に伝えやすくしています。
また、食べ物の名前や「おなかがぺこぺこ」などの言葉が豊富で、覚えやすいリズムも特徴です。
3. 「おおきなかぶ」(A・トルストイ原作)
日本の昔話として親しまれるこの絵本は、繰り返しのフレーズが特徴。単純な文章ながら、登場人物の行動や動物の名前を自然と覚えられます。
「うんとこしょ、どっこいしょ」といった掛け声を一緒に言いながら読むと、親子で楽しみながら語彙力を養えます。
4. 「ねずみくんのチョッキ」(なかえよしを・上野紀子)
短い文章の中に感情や状況を伝える言葉が詰まっています。
「ちいさくてかわいいチョッキ」「だいすき」など、身近な言葉で気持ちを表現する力を育むのに最適です。動物たちが登場するので、種類や特徴を学ぶのにも役立ちます。
5. 「スイミー」(レオ・レオニ)
小さな魚が知恵を使い、大きな敵に立ち向かう物語。海の生き物や自然の描写が詩的に描かれており、「くらげ」「いそぎんちゃく」など、普段触れる機会が少ない語彙が登場します。
また、「勇気」や「協力」といった抽象的な概念について考えるきっかけにもなります。
6. 「100万回生きたねこ」(佐野洋子)
深いテーマを扱い、大人も感動する絵本です。繊細な文章と豊かな表現が特徴で、「悲しみ」「愛」など感情を表現する言葉に触れることができます。
物語が心に残りやすいため、親子で感想を話し合うのもおすすめです。
7. 「しろくまちゃんのほっとけーき」(わかやまけん)
ホットケーキを作る過程を丁寧に描写した絵本。
「たまごをわって」「まぜまぜ」といった動作や、「ジュージュー」「ふっくら」といった音の表現が盛りだくさんで、料理や生活に関連する語彙を学べます。
実際にホットケーキを一緒に作りながら読むとさらに楽しめますよ。
8. 「アンパンマンとバイキンマン」(やなせたかし)
簡単な言葉で書かれていますが、キャラクターの多さがポイントです。
「ジャムおじさん」「ドキンちゃん」などの名前が語彙として子供に定着しやすいです。ヒーローと悪役の対比を通して、「正義」「友情」などの概念を学ぶきっかけにもなります。
9. 「おしいれのぼうけん」(古田足日・田畑精一)
押し入れの中に閉じ込められた子供たちが体験する冒険を描いたスリル満点の絵本です。
緊張感あふれる展開が子供の想像力を刺激し、「くらやみ」「たすける」といった状況に即した言葉を学べます。
また、物語の結末が安心感を与えるので、怖がりな子供にも読み聞かせしやすいです。
10. 「ノンタン」シリーズ(キヨノサチコ)
身近なテーマを扱い、子供が共感しやすい物語が多いシリーズです。「かくれんぼ」「おやすみ」など、日常生活でよく使う言葉が多く登場します。
リズム感のある文章と楽しいイラストで、子供が自分から絵本を手に取るきっかけにもなります。
先輩ママパパの体験談:絵本で語彙力がどう変わったか
「本当に絵本で語彙力が伸びるの?」と疑問を抱いている方もいるかもしれません。
ここでは、実際に絵本を取り入れた育児をした先輩ママパパたちの体験談をもとに、絵本の効果やその魅力について掘り下げていきます。
絵本が作る、親子の「会話」の時間
「夜寝る前に毎晩15分だけ読み聞かせを始めました。最初は大人の方が眠くなりそうでしたが、子供が『もう1回読んで!』とおねだりするようになって、こちらも自然と読むのが楽しくなりました。」(30代・男性)
このパパは、最初は義務感で読み聞かせを始めたそうです。
しかし、読み聞かせをきっかけに子供が絵本のキャラクターについて話し始めたり、次の日もその話題を持ち出してくるようになったと言います。
絵本はただの読み物ではなく、親子の「会話の橋渡し」となり、子供が言葉を使う機会を増やしてくれるのです。
語彙力の伸びを実感できた瞬間
「4歳の娘が急に『おひさまがぽかぽかしてきたね』と言ったとき、絵本の効果を実感しました。今までは『あったかいね』くらいしか言えなかったのに、表現が豊かになったんです。」(30代・女性)
日常会話ではなかなか使わないような表現も、絵本を通じて覚えることができます。
「ぽかぽか」「きらきら」などの擬音語や、「大きな」「小さな」「ふしぎな」といった形容詞は、子供が使いこなすことで語彙が豊かになるだけでなく、感受性も育ちます。
実は親も勉強になる?
「読み聞かせをしていると、こちらが知らない言葉や文化が出てきて勉強になります。例えば、『スイミー』を読んでいたら子供に『いそぎんちゃくって何?』と聞かれて、答えるために一緒に調べたりしました。」(40代・男性)
絵本に出てくる語彙やテーマは、子供だけでなく親にとっても新しい発見をもたらしてくれます。
親が「一緒に調べよう」と寄り添うことで、子供の知的好奇心を刺激し、語彙力だけでなく知識の幅も広がります。
他の意見:「絵本以外の方法でもいいのでは?」
一方で、「絵本がすべてではない」という意見もあります。
「うちは図鑑や子供向けの新聞もよく読ませています。絵本より具体的な情報が載っているので、子供も興味を持ちやすいです。」(30代・女性)
絵本だけにこだわる必要はありません。
子供の興味に合わせてさまざまな媒体を取り入れることで、幅広い語彙に触れることができます。
絵本は語彙力アップの第一歩として最適ですが、図鑑や新聞、さらには音声絵本や動画教材なども活用することで、多様な言葉の世界を広げることができるでしょう。
絵本育児を続けるコツ
絵本育児を長く続けているママパパたちは、「子供のペースに合わせる」ことの大切さを口にします。
「無理に読ませると絵本嫌いになることもあります。だから、読み聞かせをしたくないときは親が手に取って楽しく読んで見せるだけでもいいと思います。」(40代・女性)
親が絵本を読む時間を楽しむ姿を見せることで、子供も自然と絵本に興味を持つようになります。
「読まなきゃ」ではなく、「一緒に楽しもう」というスタンスが、語彙力アップだけでなく親子の絆を深める鍵になるのです。
まとめ:絵本育児で語彙力も親子の絆も深まる
絵本は、子供の語彙力を伸ばすだけでなく、想像力や共感力を育むための最強のツールです。
普段の会話では触れることのない新しい言葉や表現が詰まっており、子供の言葉の世界を広げるきっかけになります。
また、読み聞かせを通じて親子のコミュニケーションが深まり、日常に「特別な時間」を作り出すことができます。
忙しい毎日の中でも、1日10分だけ絵本を読む時間を作ることで、その効果は大きく現れます。
親が楽しむ姿勢を見せることで、子供も自然と絵本に興味を持ち、語彙力だけでなく学びへの意欲も高まります。
この記事で紹介した絵本の選び方や具体的な作品を参考に、ぜひ今日から絵本育児を始めてみてくださいね。
語彙力の高い子供は読解力が優れており、文章理解や記述力のテストで高得点を取る傾向がある。