子どもにとって、絵本を読む時間は特別なひととき。でも、仕事や家事で忙しい日々の中で「読み聞かせ」に追われてしまうこと、ありませんか?
「どの絵本を選べばいいんだろう?」「この話、子どもに難しすぎないかな?」と迷ったり、絵本の内容に気を使いすぎて、純粋に楽しむ余裕を失っていませんか?
実は、絵本の魅力は「お話」だけではありません。
鮮やかな色彩、個性的なタッチ、斬新な構図…。
絵本のページを開けば、言葉を超えたアートの世界が広がります。
今日は、そんな「ストーリーがなくても楽しめるアート絵本」に注目して、親子で楽しめる時間の新しい形をご提案します。
なぜ「アート絵本」なのか?|背景と魅力
カラフルな色彩やユニークなデザイン、ページをめくるたびに広がるアートの世界は、子どもの想像力を刺激し、感性を育てる大切な要素です。
ストーリーに縛られず、親子で自由に楽しむ時間を作れるのが「アート絵本」の魅力。ここでは、その背景や価値について詳しくお伝えします。
絵本の役割は「ストーリー」だけじゃない
絵本と言えば、「お話」を通じて子どもに学びを与えるもの、というイメージが一般的。
しかし、幼い子どもにとっては、お話よりもまず「絵」の方が目に飛び込んできます。色や形の世界は、子どもたちの興味を引きつけるだけでなく、感性を育てる第一歩でもあります。
例えば、赤ちゃんの頃はまだ文字を理解できなくても、鮮やかな赤や青の色彩に反応したり、丸や三角の形を目で追うことがあります。
絵本の絵を通じて「これ、どんな動物かな?」「この形、なんだろうね?」と親子で自由な会話が生まれます。
忙しい親にとっての救世主
読み聞かせをする時間が取れない日もありますよね。
ストーリー重視の絵本は、親が文章を読む負担が大きいもの。一方でアート絵本なら、言葉に頼らず絵そのものを一緒に眺めて楽しむことができます。
「どこが好き?」「どの色がきれい?」といった簡単なやり取りで、親子のコミュニケーションを深められるのも魅力の一つです。
アート絵本のデメリット意見
アート絵本には自由さがある反面、ストーリー絵本と比べて物足りなさを感じる声もあります。
「物語がないと子どもに深い学びを与えられないのでは?」「何をどう楽しめばいいのかわからない」といった意見が聞かれることも。
ここでは、そうしたアート絵本のデメリットや懸念点に目を向けつつ、その見方をどう工夫するかを考えてみます。
「物語がないと学びが少ないのでは?」
確かに、物語のある絵本は「考える力」や「価値観」を育てるための重要なツールです。
一方で、アート絵本は「自由な想像力」を育む力があります。
「この絵はどう見える?」と親子で話し合いながら、それぞれの視点を交換する経験は、固定概念にとらわれない柔軟な思考を生むきっかけとなります。
「親が関わるのが面倒では?」
アート絵本は、親が物語を読み聞かせなくても楽しめるのがポイント。
忙しいときでも、子どもが絵を眺めて自分なりの世界を作ることができるので、親の負担を軽減します。
アート絵本を楽しむ際のアイデアや工夫
アート絵本は、子どもの感性や想像力を豊かに育む素晴らしいツールですが、どのように楽しめばよいのか悩む親御さんも多いのではないでしょうか。
ここでは、実際の親子の体験談を交えながら、アート絵本を最大限に楽しむためのアイデアや工夫をご紹介します。
1. 絵本の形や色を日常で探す遊びを取り入れる
3歳の息子を育てる陽子さんは、ある日『かたちであそぶ』を手に取りました。この絵本では、丸や三角、四角などのシンプルな形が繰り返し登場します。
絵本を楽しんだ後、陽子さんは、
と息子に問いかけました。
「丸はお皿の形だね!」「三角は折り紙で作る帽子みたい!」と次々に形を探す息子に、陽子さんも驚きと感動を覚えたそうです。「絵本の中の世界が、私たちの家の中にもあったんだ!」と親子で大発見の時間を過ごしました。
- 家の中や散歩中に「形探しゲーム」をしてみる。
- 絵本で学んだ形や色を、実生活で探すことで想像力と観察力を刺激できます。
2. 絵本のテーマを活かして親子でお絵かき
5歳の娘を持つ健一さんは、『あおのじかん』を読んだ後、娘と「青」をテーマにお絵かきを始めました。
娘は青いクレヨンを手に取り、最初は大きな海を描きましたが、次第に「空の青」「青い風船」「お父さんの青いシャツ」など、日常にある青を次々と描き始めました。
健一さんは、
絵本を読んだことで、娘の中で青の世界がどんどん広がっていきました。
と語ります。この体験をきっかけに、娘は他の色でも同じように「色の冒険」を楽しむようになったそうです。
色や形を限定して描くことで、子どもの創造性を引き出します。絵本の色やテーマを基にして、親子でお絵かきを楽しむといいですよ。
3. 物語の続きを親子で想像する遊び
4歳の双子を育てる真美さんは、『みずのぼうけん』を読みながら、「この水滴、次にどこに行くと思う?」と子どもたちに問いかけました。
双子の兄は「お花に吸われてハチさんの蜜になるんだ!」と言い、妹は「海に行って、魚と遊ぶんだよ!」と答えました。
親子で想像した物語の続きを描く中で、真美さんは「子どもたちの発想はこんなに自由なんだ!」と驚きました。この遊びがきっかけで、子どもたちは他の絵本でも「続きを考える」遊びをするようになったそうです。
- 絵本の内容に問いかけを入れ、子どもと一緒にオリジナルの物語を作る。
- 「次はどうなると思う?」などの質問で、子どもの想像力を引き出します。
ストーリー不要!楽しさ広がるアート絵本4選
ここでは、ストーリーがなくても親子で楽しめるアート絵本をいくつかご紹介します。それぞれ、絵そのものの魅力を存分に活かした作品ばかりです。
1. 『あおのじかん』|静かな青の世界を旅する
この絵本は、青のグラデーションだけで構成された美しい世界を描きます。深い海のような青、夕暮れの空のような青…。
ページをめくるたびに違った青が広がり、まるで心が青の絵の具で染まっていくような感覚です。
青が持つ静けさや温かさを感じながら、親子で「青といえば何を思い出す?」と話してみましょう。
夏の海、冬の夜空、子どもが好きな青いおもちゃなど、青をテーマに記憶を旅するようなひとときが生まれます。
特徴
- 青を基調とした繊細なタッチが特徴。
- 親子で「青といえば何を思い出す?」と話しながら楽しめる。
2. 『かたちであそぶ』|シンプルな形が創る世界
この絵本は、シンプルな幾何学模様だけで構成されたアート絵本です。
でも、そのページをじっと見ていると…いつの間にか丸が太陽に見えたり、三角が山に見えたり。子どもの想像力を爆発させる仕掛けが満載!
親子で絵本を見ながら形当てゲームをしてみてください。
「この丸は何に見える?」と聞いてみると、子どもならではのユニークな発想に驚かされるかもしれません。また、実際に紙を切って似た形を作り、絵本の世界を現実に再現する遊びもおすすめです。
特徴
- 子どもの想像力を刺激するデザイン。
- 実際に紙で形を切り抜いて「真似っこ工作」をする遊びもおすすめ。
3. 『みずのぼうけん』|自然と出会うアート絵本
この絵本は、水滴が空を旅し、大地に降り、川を流れ、また空へ戻るというサイクルを描いたアート作品。ほとんど言葉はないけれど、絵そのものが語りかけてきます。
四季折々の風景を舞台に、水の動きを追いかけるだけで、自然の壮大さが伝わります。
「この水滴はどこへ行くのかな?」と子どもと一緒に想像しながらページを進めてみてください。
さらに、お風呂やキッチンで実際に水の流れを観察したり、水たまりや雨の日の外遊びに出かけたりして、絵本の世界をリアルに体験するのも楽しいですね。
特徴
- ストーリーを強調せず、色彩豊かな水の世界を楽しめる。
- 自然をテーマに親子で対話が広がる。
4. 『まいにちのもよう』|パターンを探す旅
この絵本は、タイル、葉っぱ、雲の形など、日常の中で出会える「模様」に注目した作品です。
絵本を読み終えた後、ふとした瞬間に「これ、絵本に出てきた模様みたい!」と身の回りが新鮮に見えるようになります。
親子で「模様探しゲーム」をしてみましょう。
公園のベンチ、家の壁紙、キッチンの床…。普段は見過ごしている場所にも、アートは溢れています。身の回りの世界が少し特別に思える魔法の絵本です。
特徴
- 子どもと一緒に身の回りの模様探しゲームが楽しめる。
- 日常をアートとして捉える感性が育つ。
まとめ
ストーリーのない絵本だからこそ、親子で自由に楽しめる時間が広がります。
アートを通じて感性を育むだけでなく、「一緒に考える」楽しさを共有できることが、アート絵本の最大の魅力です。
「今日は何を読もう?」と迷ったときは、ぜひアート絵本を手に取ってみてください。ページをめくるたびに新しい発見と驚きが待っています。
この形、家の中で見つけられるかな?